日本消化器外科学会雑誌
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直腸癌術後早期に硬膜外膿瘍を発症した1例
團野 克樹亀山 雅男村田 幸平石川 治岸 義彦今岡 真義
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2002 年 35 巻 5 号 p. 561-565

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抄録
硬膜外膿瘍は持続硬膜外ブロックの合併症の一つであり, その発症頻度は1万人当たり1. 96人と増加傾向にある. 今回, 直腸癌術後早期に硬膜外膿瘍を発症し, 保存的治療で軽快しえた症例を経験したので報告する. 症例は70歳の女性, 直腸癌で低位前方切除術施行. L1/L2に硬膜外カテーテル留置. 術後5日目腰背部痛出現, カテーテル刺入部に皮下膿瘍確認. カテーテル抜去し切開排膿, 抗生剤投与したが, 激しい頭痛と発熱が出現. 脊椎MRIでL1/2レベルに2cm大のGd-T1強調で周囲がenhanceされる腫瘤像を認め, 硬膜外腫瘍と診断した. 膿汁培養でMRSAが検出されたため抗生剤をVCMに変更, 抗生剤投与のみで後遺症なく治癒した.
硬膜外膿瘍の起炎菌は, 近年MRSAの占める割合が増えており, 術後硬膜外ブロック施行後, 頭痛などを伴う発熱を認めた場合, 硬膜外膿瘍も念頭に置いた検査, 治療が望まれる.
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