35 巻 (2002) 8 号 p. 1359-1368
目的: 癌局所環境における生体反応と予後との関連を腫瘍細胞と腫瘍浸潤リンパ球(TIL)のアポトーシス発現程度から検討し, その臨床的意義を評価した. 方法: 対象は1992年から5年間に経験し, 予後が判明している49例. 方法は切除標本から薄層連続切片を作製し, H.E.染色および抗Tリンパ球抗体(UCHL-1)を用いたLabelled Streptavidin Biotin法で腫瘍細胞とTILを同定後, 連続する対側切片を用いてTUNEL染色し, 陽性細胞発現頻度 (AI,%) を辺縁部と中心部で比較検討した. 結果:(1)腫瘍細胞のAI値は辺縁部で高く, 中心部では病期, n因子, 壁深達度の進行に伴い低下した.(2)TILの浸潤程度は中心部で高いほど壁深達度が有意 (p=0.024)に浅く, AI値が高いほど深達度が有意 (p=0.024)に深かった.(3)単位面積当たり180個で比較するとTILが多いほど予後は有意 (p<0.002)に良好であった.(4)腫瘍細胞のAI値は辺縁部, 中心部とも高値群の予後が低値群に比べ有意 (p<0.05) に良好であった.(5) TILのAI値は辺縁部 (0.70), 中心部(1.00)とも低値群の予後が高値群に比べ有意(p<0.03, p<0.001)に良好であった. 考察: 腫瘍細胞とTILのアポトーシス発現頻度の検索は, とくに中心部で予後予測や補助療法の選択の上で, 有用な上方を提供可能と推察された.