36 巻 (2003) 10 号 p. 1426-1430
症例は22歳の男性. 腸閉塞の診断で入院. 開腹手術歴はなく, 約3週間前に交通事故による腹部打撲の既往があった. 保存的治療を行ったが, 翌日になって腹膜刺激症状が出現したため, 緊急手術を施行した. 開腹すると膿性腹水を認めた. 回盲部から約1mの回腸腸間膜に3cm大の欠損孔があり, 遠位の回腸が内ヘルニアを起こしてイレウスとなっていた. さらに腸間膜付着部の対側で小腸は壊死, 穿孔をきたし, 膿瘍を形成していた. 内ヘルニア腸管の虚血はなく, 穿孔腸管を腸間膜欠損部を含めて切除, 端々吻合した. 病理学的に腸間膜欠損部に繊維化と炎症細胞浸潤が認められ, 他の小腸間膜にも硬結が散在し腸管の短縮を認めたこと, 腹部打撲の既往があることから, 外傷性小腸間膜損傷後に修復された欠損孔に内ヘルニアを起こし, イレウスの進行のため腸間膜欠損腸管の虚血が助長され, 遅発性に壊死, 穿孔にいたったものと推測された. 術後18日目に軽快退院した.