日本消化器外科学会雑誌
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迷走神経温存胃癌手術の術後quality of lifeに重点をおいた臨床的検討
辻 秀樹安藤 重満榊原 堅式
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36 巻 (2003) 2 号 p. 78-84

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抄録

目的: 癌に対する根治性を保持しつつ, 術後の消化吸収機能を維持し, 胆石発生頻度を抑制する目的で, 迷走神経肝枝・腹腔枝温存胃癌手術を行った. 対象と方法: 左胃動脈を根部で結紮切離して逆行性に腹腔枝を遊離する方法で温存手技が容易になり, D2リンパ節郭清と同等のen bloc郭清ができることより, 神経温存手術を早期癌のみならず進行癌の一部まで適応を拡大した. 病巣占居部位が小彎側ならMP, NO, 大彎側ならSE (S1程度), 近傍のN1までとした. 1994年からの6年3か月間で, 術後2年以上経過した137例を対象に術後のQOLを中心に検討した. 術式別では幽門側胃切除術 (VP-DG) 99例, 幽門保存胃切除術 (VP-PPG) 22例, 胃全摘術10例, 噴門側胃切除術6例であった. 術後の体重の減少率と胆石発生率についてはVP-DG・PPGの121例を対象に検討した. 対照としてD2郭清を伴う幽門側胃切除術66例 (D2-DG) を用いた. 結果: 137例のうち早期癌103例, 進行癌34例であった. VP-DG・PPG群では術後3か月から体重の回復が見られ, 体重の減少率はVP-DG・PPG群95.7%, D2-DG群91.5%で, 両群間に有意差を認めた (P<0.0001). 全摘術では90.2±6.3%, 噴切術94.3±6.5%であった. 胆石発生率はVP-DG・PPG群1.7%(2/121), D2-DG群13.6%(9/66) で, 両群間に有意差を認めた (P=0.0016). 結語: 迷走神経温存手術は術後のQOLの向上に有用であることが示された. また温存手術を進行癌の一部に行ったが, 今後さらに検討する必要があると思われた.

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