36 巻 (2003) 5 号 p. 437-442
骨盤内臓全摘術は, 手術侵襲の大きさのために, 手術死亡率がかなり低下した現在でも術後合併症の発生頻度が高く術後長期の入院を要する. 一因として多臓器切除にともなう小骨盤内の死腔形成と脆弱な会陰創への難治性瘻孔の形成が挙げられる. これらの原因に対処する目的で肛門・会陰部の切除閉鎖を伴う骨盤内臓全摘例に対して薄筋弁会陰創修復術を応用した. 1994年3月より2002年4月までの間に当科では進行・再発大腸癌に対し上記骨盤内臓全摘術を9例経験したが, うち5例に薄筋弁会陰創修復術を実施した (薄筋群). 他の4例では会陰創を普通に閉鎖した (単閉鎖群). 薄筋群, 単閉鎖群の間で臨床病理学的因子を比較検討した結果, 薄筋群で, 術後入院期間が単閉鎖群より短い傾向があり, 薄筋弁による会陰創修復術が骨盤内臓全摘術後入院期間を短縮させる可能性が示唆された.