症例は59歳の女性. 主訴は心窩部痛. 1996年4月下旬に心窩部痛が著しく, 近医に緊急入院となった. 精査の結果, 急性胆嚢炎および腹腔内嚢胞の診断で, 当院紹介入院となった. 手術は, 胆嚢摘出後に, 嚢胞を胃の漿膜筋層とともに, 一部胃粘膜もつけて摘出した.術後の病理組織学的診断で, Bronchogenic cystと判明した. 術後約6年半経過した現在も再発はない. Bronchogenic cystは発生学的に原始前腸に由来する先天性嚢胞である. 良性疾患ではあるが, 術前の確定診断は困難であり, 悪性腫瘍合併の報告もあることから, 外科手術の適応とされている. Bronchogenic cystの腹腔内発生頻度は非常にまれであり, 今日までの本邦報告例に, 本症例を含め7例について, 文献的考察を加えた.