日本消化器外科学会雑誌
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膵併存癌 (duct-acinar cell carcinoma) の1切除例
阪井 満竹田 伸石川 忠雄金住 直人井上 総一郎金子 哲也中尾 昭公長坂 徹郎
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2005 年 38 巻 12 号 p. 1821-1827

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抄録

膵管癌, 腺房細胞癌あるいは島細胞癌が混在する膵併存癌はまれであり, その報告は極めて少ない. 今回, 我々は膵管癌と腺房細胞癌の混在するmixed duct-acinar cell carcinomaの1切除例を経験したので報告する. 症例は63歳の男性で, 糖尿病のため近医通院中, 血糖コントロールの悪化があり, 精査にて膵頭部癌と診断され当科紹介となった. 腹部CTでは膵頭部に3.5cm大の境界不明瞭かつhypovascularな腫瘍を認めた. 腹部血管撮影では門脈へ直接合流する回結腸静脈にencasementが認められた. ERCPでは膵頭部領域における主膵管の途絶が認められた. CEAは軽度上昇, CA19-9は正常であった. 以上より, 膵頭部癌の診断の下, 回結腸静脈合併膵頭十二指腸切除術および術中照射を施行した. 摘出標本では, 膵頭部に浸潤傾向の強い充実性腫瘍を認めた. 病理組織および免疫組織学的検討により, 中分化型管状腺癌と腺房細胞癌の併存癌と診断された.

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