38 巻 (2005) 6 号 p. 684-689
上腸間膜動脈血栓症に対し手術を施行し, 術後早期再燃に対し, 経カテーテル的血栓吸引療法を施行した1例を経験したので報告する. 症例は65歳の男性で, 心窩部痛を主訴に受診した. 既往歴は心筋梗塞, 脳梗塞, 糖尿病で, 高度炎症所見をきたすも症状が軽く, 早期診断が困難であった. 造影CTにて上腸間膜動脈血栓症と診断され, 発症から約44時間後手術を施行した. 開腹すると, 小腸は大部分が壊死をきたしており, 広範囲小腸切除術および右半結腸切除術を施行した. 術後経過は良好であったが, 術後7日目に右上腹部の圧痛が出現し, 炎症所見の再上昇も認めた. 造影CTでは明らかな異常を認めなかったが, 腹部血管造影にて血栓症再燃と診断した. 引き続き経カテーテル的血栓吸引療法を施行し, 多量の血栓除去に成功し, 血流の再開通を認めた. 上腸間膜動脈血栓症に対し本手技を用いた報告は本邦6例目であり, 本症に対し有効な治療法であると考えられた.