今回, 我々はいわゆる癌肉腫と扁平上皮癌の同時性食道多発癌の1例を経験したので報告する.症例は57歳の男性で, 嚥下困難を主訴に当院受診となった.食道造影・食道内視鏡検査にて, 胸部中部食道に扁平上皮癌を指摘された.腫瘍の狭窄がひどく, 内視鏡による腫瘍肛門側の観察は不可能であった.術前全身精査において多発肺転移を認め, 化学療法+放射線治療を1クール行ったが, 唾液も飲み込めないような状態に陥った.そのため, 食道亜全摘胃管再建胸腔内吻合術を施行した.切除標本では, 胸部中部食道に扁平上皮癌, 胸部下部食道にいわゆる癌肉腫の併発が認められた.いわゆる癌肉腫は比較的まれな食道腫瘍であり, 扁平上皮癌との同時性食道多発癌の例は, 極めてまれであるため報告した.