日本消化器外科学会雑誌
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バリアンス解析からみた肝切除クリニカルパスの適応
後藤田 直人小西 大中郡 聡夫高橋 進一郎木下 平
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39 巻 (2006) 1 号 p. 9-15

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抄録

はじめに: クリニカルパスの視点で術後バリアンスが多いと考えられる肝切除術周術期管理において, 当院では肝機能/肝切除量に応じた2種類の術後の輸液指示の異なるクリニカルパス (以下: パス) を作成し導入してきた経緯から, このパスのバリアンスやアウトカムを解析し, 問題点およびその適応について検討した. 対象と方法: 2004年1月から12月までに当院で行われた肝切除例120例 (胃癌および結腸/直腸癌同時肝切除症例を除く) のうち, パス適応となった115例を解析の対象とし, 術後のバリアンス発生とアウトカム, 術前肝機能・手術侵襲因子との相関関係を解析した. 結果: パスが完遂された症例は115例中92例 (80%) であった. 術後平均在院日数はバリアンス発生のなかった全症例で平均9.0日であった. バリアンス発生に寄与する臨床的因子は疾患内訳, 術式, 手術時間, 出血量, 輸血の有無であった. また, 術後2日目の経口摂取不良もバリアンス発生に関連していた. 考察: 2種類のパスのうち高度肝機能不良, 大量肝切除症例への適応を想定して作られたパスは使用頻度も完遂率も低かった. そうした症例はパス適応外とするか, 適応とするならば指標としては手術侵襲, 特に手術時間5時間以内の症例が対象となるのではないかと考えられた. 予定手術時間が5時間以上, かつ他の解析で求められた手術侵襲因子のカットオフ値も越えることが予想されるような場合はパスの適応外と考えられた.

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