日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
CDDP腹腔内投与+TS-1併用療法により癌性腹水が消失した進行性胃癌の1例
藤井 雅和沖野 基規藤岡 顕太郎山下 勝之濱野 公一
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 39 巻 2 号 p. 189-195

詳細
抄録
症例は66歳の男性で, 約10kgの体重減少, 腹痛で当院を受診した. 腹部CTで腹水貯留と腹部大動脈周囲リンパ節の腫脹を認め, 直腸診でダグラス窩に腫瘤を認めた. 胃内視鏡検査では, 丈の低い隆起性病変を認め, 病理組織ではGroup Vであった. 癌性腹膜炎を伴う進行性胃癌と診断され, 腹水コントロールを目的として, 腹腔内リザーバー留置術が施行された. 術後, CDDP100mgが週1回, 計3回腹腔内投与された. TS-1 (120mg/day) の投与法は, 2週間内服, 1週間休薬を1クールとした. 投与開始後, 最高3,316ng/mlあったCEAの値はすみやかに下降し, 腹水も消失した. 直腸診でのSchnitzler転移は陰性化し, 腹部CT上の腹部大動脈周囲リンパ節転移も消失した. 胃内視鏡検査でも癌病変の著しい縮小を認めた. 治療開始1年10か月後の現在でも, CRは継続しており, 患者は外来化学療法で良好なQOLを保っている.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top