40 巻 (2007) 2 号 p. 209-214
Von Reklinghausen病 (以下, R病) に合併した空腸gastrointestinal stromal tumor (以下, GIST)を経験したので報告する. 症例は54歳の男性で, R病を有し, 全身にカフェオレ斑, 神経線維腫を認めた. 平成17年4月貧血で入院し, 上部消化管内視鏡検査で十二指腸に出血を伴う粘膜下腫瘍を認めた. 手術所見では, トライツ靭帯近傍に2.5cm大の粘膜下腫瘍を認め摘出した. 免疫組織学的には, CD34 (+), KIT (+)でGISTと診断されたが, c-kitの遺伝子異常はみられなかった. R病に合併したGIST症例には, c-kit遺伝子・PDGFRα遺伝子に突然変異のみられないものが報告されている. R病は第17染色体に遺伝子異常がみられ, NF1遺伝子の変異によるneurofibrominの機能異常から腫瘍が発生してくるとされている. R病を合併したc-kit遺伝子・PDGFRα機能獲得性突然変異を伴わない多発性空腸GIST症例を報告する.