日本消化器外科学会雑誌
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Print ISSN : 0386-9768
腸重積で発症した回腸リンパ管腫の1例
小野里 航中村 隆俊旗手 和彦小澤 平太佐藤 武郎國場 幸均井原 厚渡邊 昌彦
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40 巻 (2007) 8 号 p. 1531-1535

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抄録

症例は55歳の女性で, 昼食後より腹痛, 嘔吐が出現し近医を受診した. 近医では腸閉塞と診断され, 入院後イレウス管を挿入され保存的治療をうけた. その後も症状改善せず, 発症5日後より腹痛増強のため当院転院となった. 入院時腹部全体に強い圧痛と反跳痛を認め, 右下腹部には手拳大の腫瘤を触知した. 腹部造影CTでは回盲部にtarget signを認めた. 腸重積による腹膜炎と診断し, 緊急手術を施行した. 術中所見では回腸-回腸-結腸型の腸重積を認め, 回盲部は巨大ソーセージ様の暗赤色腫瘤を形成していた. 用手整復が困難であったので回盲部切除術を施行した. 切除標本で回腸末端から54cmの部位に2.7cm大の粘膜下腫瘍を認め, この粘膜下腫瘍が先進部位となっていた. また, 回腸末端から20cmの部位にはメッケル憩室を認めた. 病理組織学的検査では回腸リンパ管腫と診断された. 小腸リンパ管腫はまれであり, 本邦では36例の報告があるが, しかし腸重積で発症した報告例は6例と少なく, 本症は極めてまれな症例と考えられた. 成人腸重積の原因の一つとして, 小腸リンパ管腫を念頭におく必要があると考えられた.

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