日本衛生学雑誌
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身体検査所見による心臓突然死の予測
栗田 明上畑 昭美西岡 利彦高瀬 凡平丸山 寿晴中村 治雄中川 晃志賀 稔浅野 伍朗
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キーワード: 心臓突然死, 心重量, 身体歴
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1989 年 44 巻 3 号 p. 739-747

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抄録

1975年より1987年までのほぼ13年間で陸上自衛隊の隊員で60分以内に発症して死亡した心臓突然死群58例(平均年齢35歳,男性)の身体検査と,年齢,性,陸上自衛隊の階級などの社会的背景をマッチさせた58例の健康な隊員の身体検査を比較検討した。年1回行う身体検査は,身長,体重,心電図,血圧,胸部x-p,血液化学を記載することよりなり,身長と体重より肥満度を,心電図より心臓の重量を推定式を用いで求めた。その結果,心臓突然死群に占める高血圧と420g以上の心重量を有する頻度が対照群と比べて多く,かつ高脂血症の頻度も多かった。なお通常の心電図では,心室性期外収縮の頻度が多かった。また許可の得られた11例の病理学的所見は心筋細胞の肥大,変性,間質の浮腫が認められた。以上より心重量が重くかつ高血圧か,高脂血症,または心室性期外収縮を有する人程心臓突然死の頻度が多いことが分った。心臓突然死を予測するのに心電図や通常の身体検査所見を用いることは有る程度役に立つと思われる。

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