抄録
騒音が睡眠に及ぼす影響を検討するために我々が開発した睡眠段階判定システムを用いて,連続的採取データおよび三つの間歇的な採取データによる各睡眠段階の割合をコンピュータ判定し,視察によるそれと比較した。さらに視察判定との一致率をデータ採取頻度との関連で検討した。既報の判定システム(日衛誌,43,1092-1101(1989))では毎分はじめの1/3(20秒)データの使用を基本としていたが,FIFOバッファーを用いたA/Dコンバーターにより連続的データ採取が可能となった。
心身ともに健常な20歳前半の学生6名について,各5夜合計30夜分のヒプノグラムが実験室で記録された。1エポック20秒として睡眠段階を判定した。各被験者5夜分のデータをそれぞれ1つに併せて,視察判定による睡眠段階と,1)連続的データ,2)1/3データ(毎分はじめの1エポック),3)1/9データ(3分に1エポック),4)1/15データ(5分に1エポック)との各睡眠段階の一致率を6人の対応のあるデータとして両側t検定したが,連続的データと比較して1/3データは視察判定との一致率に違いはなく,71.5∼80.5%であった。また,1/9データと視察判定との一致率は69.0∼77.4%,1/15データと視察判定との一致率は66.1∼75.3%で統計的有意差を認めた(各々P<0.05,P<0.01)。なお,カッパ統計値による一致度の検討でも同様の傾向を認めた。
次に視察判定による全睡眠時間(覚醒期および運動時間は除く)に対する各睡眠段階(1,2,3,4,REM)出現割合と,連続的,1/3,1/9,および1/15データのコンピュータ判定によるそれらとを6人の対応のあるデータとして比較した。その結果,視察判定による各睡眠段階出現割合は,連続的採取データおよび三つの間歇的な採取データのコンピュータ解析によるそれらと統計的有意差を認めなかった。
視察判定との睡眠段階の一致率の比較から,コンピュータ判定のためのデータは少なくとも全データの1/3は必要であると結論された。