日本衛生学雑誌
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食習慣と血清中脂肪酸構成に関する地域比較研究
梅村 詩子小池 和子磯 博康山海 知子嶋本 喬佐藤 眞一飯田 稔飯田 恭子小町 喜男
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1993 年 48 巻 5 号 p. 939-954

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抄録

脂肪の摂取量が,年々増加している現状に鑑み,成人病,特に虚血性心疾患の発症の予防のための食生活指導に寄与することを目的として,食習慣の異なる国内4集団(漁家,沿岸農村,内陸農村,及び都市)で,成人女性に対し24時間思いだし法による栄養調査,食習慣問診による主要脂肪摂取源食品の摂取頻度調査を実施した。更に,国内4集団と米国白人女性について血清中の脂肪酸を分析し,(1)食物摂取状況,特に脂肪酸量と血清中脂肪酸構成割合(%),脂肪酸量(mg/dl)との関連,(2)食物の摂取頻度と血清中脂肪酸構成との関連について検討し,次の結果を得た。
摂取した食物中の一価不飽和脂肪酸量,多価不飽和脂肪酸量,及びω6系不飽和脂肪酸量は,都市集団で他の国内集団に比し最も多かった。ω3系不飽和脂肪酸摂取量は,集団間で差は認められなかったが,ω3系不飽和脂肪酸のうち,エイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸の摂取量は,都市,内陸農村では比較的少なく,漁家,沿岸農村で多かった。
血清中の脂肪酸構成割合(%),及び脂肪酸量においては,ω6系不飽和脂肪酸は,都市,内陸農村で高く,特にリノール酸の割合が高かった。ω3系不飽和脂肪酸は,漁家,沿岸農村で高く,特に,エイコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸が有意に高かった。
日米間では,国内4集団に比べて,米国集団ではω6系不飽和脂肪酸が有意に高く,特にリノール酸,アラキドン酸が高かった。ω3系不飽和脂肪酸は有意に低く,特にエイコサペタエン酸,ドコサヘキサエン酸の割合が低かった。
血清中のω3/ω6比は,国内4集団は漁家が0.38で高く,沿岸農村,都市,内陸農村の順であった。米国では0.07と極端に低かった。
各集団における個人の食物摂取頻度と血清脂肪酸構成の関連を検討したところ,魚介類の摂取頻度の多い群ほどω3系不飽和脂肪酸構成割合(%)が高く,両者は有意に正の相関を示した。個々の脂肪酸では,エイコサペンタエン酸,ドコサペンタエン酸,ドコサヘキサエン酸が同じ傾向を示した。肉類あるいは,油脂類の摂取頻度の多い群ほどω6系不飽和脂肪酸の構成割合(%),特にリノール酸,アラキドン酸が高い傾向を示した。
以上の様に食物摂取頻度より見た食習慣は血清脂肪酸構成,特にω6系,ω3系不飽和脂肪酸構成に反映することが認められた。

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