抄録
本論文では急速に発展した新型コロナウイルス危機に関するマクロ経済分析について展望する。特に、感染症 SIRモデルとマクロ経済モデルを統合した新しいフレームワークについて解説を行う。本稿は、(i)まずコロナ危機の分析が伝統的なマクロ経済学のフレームワークでは困難であることを議論し、(ii)政策評価のためのパンデミック可能性フロンティアという概念を導入し、(iii)経済的コストを入れた感染症モデルを紹介し、(iv)さらに個人の最適化問題と市場均衡が導入されたモデルをまとめ、(v)モデルを応用して日本の緊急事態宣言の数量的分析を行う。