本研究では、米国で使用されているHCFA-DRG、AP-DRG、APR-DRGという3種類のDRGがわが国の医療界に適用可能かどうかその妥当性を検証した。その結果、統計的にみるとAPR-DRGの採用が最も好ましい診断群であるという結論を得た。しかしながら、わが国にAPR-DRGを本格的に導入するには、コーディングの正確性が必須条件となるため、わが国で、固有のDRG(日本版DRG)を開発するというならば、AP-DRGが、その堅実な出発点になりうると考える。実際わが国がAP-DRGから日本版DRGの開発を始めれば、DRGをゼ口から作り出すと言う作業が不要となり、わが国とアメリカの医療上の違いに焦点を絞って診断群を検討することも可能となる。
しかしその場合でも、わが国の急性期医療の病院には、米国と異なり、いわゆる「社会的入院」が存在しており、これをどう処理するかが問題になる。本研究では、一定の前提を置いて、各DRG別の相対係数を算出したが、これらが、わが国のすべての病院に確実に受け入れられるようなものにするには、より一層多くのデータを収集し、臨床医学の専門的な意見を採り入れた研究が求められる。