人文地理
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高校地理教育実践の課題と展望―地理新科目の設置を見据えて―
須原 洋次
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2018 年 70 巻 1 号 p. 111-127

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抄録

中央教育審議会は,次期学習指導要領に関する報告を2016年末に答申した。2022年度から高等学校で科目「地理総合」が必履修化となる。地理の履修者が激減して40年が経過する。この間,地理教育実践にはさまざまな課題が生じた。地理の必修化に向けて,基礎的・基本的な内容の重視,学習内容の見直し,質の高い教員養成,地理歴史科教員の指導力向上,教育課程の適切な実施など,解決すべき課題は多い。また,地図や地理情報システムを活用し,持続可能な開発のための教育,防災教育など,社会的な要請に応える教育実践が求められる。これらの期待に応えるために,教育実践研究の蓄積,地理教育と地理学や地理教育関係諸科学との双方向的な連携が必要である。また,地域の学びを深めるために,歴史教育との連携も求められる。地理を学ぶすべての子どもたちに豊かな学力を身に付けるために,地理教育の成果が,急激なグローバル化が進む今日の社会にいかんなく発揮され,地理が学校教育に不可欠な役割を担う存在でありたい。

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© 2018 一般社団法人 人文地理学会
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