人文地理
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研究ノート
近世後期の絹織物産地における生産基盤と豪農経営―丹後縮緬産地加悦谷の角屋家を事例に―
松岡 宏樹
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2026 年 78 巻 2 号 p. 177-199

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抄録

近世後期以降,貨幣経済の浸透と消費市場の拡大,流通の活発化によって,在方における生産と人口が成長した。商品作物の生産と流通が活発化した一方で,二次産品の地方における生産も拡大した。白生地絹織物を代表する製品の一つである縮緬の産地のなかでも,丹後は桐生と同時期に技術移転が進み,中心的な産地となった。既往研究では,地元丹後の生産者による同業者組合が藩当局や問屋資本との交渉を経ながら成長していったことが明らかにされた。本稿では地域の生産基盤と豪農経営を関連付けて論じることで,地域と産地,主体の重層的な関係を解明することを試みた。その結果,宮津藩領において生産基盤の地域的な差異が存在し,丹後縮緬生産に関わる資源は偏在していたことが明らかになった。そして中心的な産地を本拠地とした豪農は,地域をとりまく経済状況に応じてその経営戦略を柔軟に変え,絹織物生産から金融業,原料糸取引へと軸足を移していった。その経済活動は産地における金融の結節点となり,産地内外を結びつけるとともに産地構造の維持につながっていった。

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