下咽頭癌の治療戦略を考える際には,field cancerizationの見地からも関連の深い食道癌における診断と治療の進歩,変遷が参考になる。1980年代から浸潤が固有筋層に及ばない癌(表在癌)が経験されるようになり,内視鏡的ルゴール法の導入で,その発見が急増した。それとともに治療成績は著しく向上し,新たな治療法が導入され,QOLを重視する治療戦略が明確となってきた。
内視鏡治療を行った下咽頭癌21例37病変は,内視鏡で発赤,血管透見像の変化,粘膜肥厚などに注目する事で発見され,EMRとAPC法を単独あるいは併用し治療された。5病変は追加内視鏡治療を要し,3例では頸部リンパ節郭清を施行した。再発死亡を1例,他癌死を5例,他病死を3例に認め,5年生存率は約60%であった。下咽頭癌の早期診断は通常の内視鏡検査時にも可能であり,早期診断による治療法の縮小,QOLの維持が期待できる。