頭頸部癌
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胸腹部臓器から頭頸部領域への遠隔転移癌
―当科の経験―
井口 広義和田 匡史八谷 和孝天津 久郎松下 直樹大石 賢弥山根 英雄
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2009 年 35 巻 4 号 p. 416-420

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抄録
1994年3月から2009年2月までの過去15年間に当科で経験した9例(男性6例,女性3例)の胸腹部臓器から頭頸部領域への遠隔転移癌症例に対して臨床的検討を行った。年齢は58歳から78歳(平均67.9歳)で,原発部位は,肺4例,腎2例,肝・胃・大腸が各々1例であった。転移部位は,中咽頭4例(口蓋扁桃3例,舌根1例),口腔3例,鼻・副鼻腔2例,甲状腺1例であった(1例の中咽頭と口腔の重複例を含む)。原発巣発見から転移巣発見までの間隔は,1ヶ月以内から10年で,3例は5年以上であった。9例中1例(胃癌)では,転移巣の病理組織検査から原発巣が判明した。全例で頭頸部以外にも遠隔転移を有しており,骨が5例と最多で,以下,脳と副腎が各々3例,肺2例などであった。
これまでの報告では,胸腹部臓器から頭頸部領域への遠隔転移癌としては,腎癌の鼻副鼻腔転移が最も多いとされていたが,1983年~2009年の集計では,肺癌の咽頭転移が最多であった。
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© 2009 日本頭頸部癌学会
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