頭頸部癌
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その他臨床
頭頸部癌に対するS-1の隔日投与による同時化学放射線療法の初期経験
平 栄甲能 直幸
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2010 年 36 巻 3 号 p. 363-368

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抄録

目的:この研究の目的は局所進行頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)患者におけるS-1の隔日投与による同時化学放射線療法の有用性と毒性を評価することである。
対象と方法:2008年1月から2010年2月にかけて10例のSCCHN患者を対象に,隔日でS-1の80mg/日の経口投与と三次元原体照射(three-dimensional conformal radiation therapy:3DCRT)による同時化学放射線療法を行った。放射線治療は内視鏡所見やCT,PET-CT所見にもとづく病巣部照射で,矩形照射野での回転照射と固定多門照射を複合させた3DCRTで行った。総線量の中央値は69Gy(66~74Gy)であった。
結果:Grade 2の粘膜炎を2例で認めたが,その他のgrade 2以上の急性期・晩期有害事象を認めた症例はなく,予定された放射線治療も中断なく施行可能であった。一次治療後,9例(82%)で臨床的に完全奏効となり,それらの症例では現在のところ再発は認めていない。
結論:局所進行頭頸部扁平上皮癌患者において,原体性を高めた3DCRTと隔日投与のS-1による同時放射線化学療法の有効性が示された。今後,症例数を重ねて遠隔成績を検討する必要がある。

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© 2010 日本頭頸部癌学会
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