2011 年 37 巻 1 号 p. 83-87
極めて予後不良とされる甲状腺未分化癌の局所進行例に対し早急に拡大切除を2例に施行し,局所制御しえたので報告する。
症例1:63歳男性,主訴は急速増大する甲状腺腫瘤。術前診断cT4bN1bM0stage IVBに対し,初診日より10日目に喉頭全摘出術+甲状腺全摘出術+両側頸部郭清術を施行した。術後27ヶ月経過し,現在再発を認めていない。(症例2)66歳女性,主訴は右頸部痛と急速増大する甲状腺腫瘤。術前診断cT4bN1bM0stage IVBに対し,初診日より7日目に咽頭喉頭頸部食道摘出術+甲状腺全摘出術+両側頸部郭清術+遊離空腸再建術を施行した。術後放射線照射施行したが,術後4ヶ月で多発転移出現し翌月原病死した。局所は最後まで制御されていた。
根治切除可能な病変ならば,治癒の可能性があることや上気道の確実な確保のため,拡大切除での局所制御に取り組む意義はあると考える。