2018 年 44 巻 1 号 p. 39-45
はじめに:耳下腺癌と顎下腺癌は比較的まれな疾患である。耳下腺癌,顎下腺癌症例を集積し,後ろ向きに比較検討した。
対象:2006年から2015年に,京都大学医学部附属病院とその関連病院にて初回根治治療を行った260例(耳下腺癌195例,顎下腺癌65例)。
結果:病理組織型の悪性度について,高悪性の割合は耳下腺癌44%,顎下腺癌58%であった。穿刺吸引細胞診(FNA)の悪性に対する感度は,耳下腺癌50%,顎下腺癌75%であった。平均観察期間3.6年における3年全生存率/特異的生存率/局所頸部制御率/遠隔制御率は,耳下腺癌85%/89%/85%/87%,顎下腺癌74%/74%/90%/65%であった。疾患特異的生存率と遠隔制御率については,統計学的有意差をもって顎下腺癌の成績が不良であった。
結論:顎下腺癌は耳下腺癌と比較して遠隔制御率が低く,疾患特異的生存率が不良であった。