頭頸部癌
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その他臨床
放射線性下顎骨壊死に関する検討
松﨑 秀信勝井 邦彰松﨑 久美子津村 宗近池田 篤司伊原木 聰一郎水川 展吉小野田 友男浅海 淳一木股 敬裕
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2018 年 44 巻 1 号 p. 57-61

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抄録

当院で口腔および中咽頭癌に対する放射線治療を受けた60例(口腔癌42例,中咽頭癌18例)を対象とし,放射線性下顎骨壊死(以下ORN)のリスク因子について後方視的に検討を行った。ORNは7例(12%)で認められ,発生までの期間は1~53ヶ月(中央値15ヶ月)であった。下顎骨全体の検討では放射線治療前1ヶ月以内の抜歯の既往,平均線量(中央値51Gy)とV40およびV50(40Gy,50Gyが照射される下顎骨の体積)に有意差が認められた。片顎ずつの検討では,平均線量およびV40に有意差が認められた。多変量解析で下顎骨全体の検討での放射線治療前1ヶ月以内の抜歯の既往に有意差が認められ,片顎ずつの検討では認められなかったことから,要抜去歯を有する患者はORN発生のリスクが高いと考えられた。ORNを予防するためには,下顎骨に対する最大線量の制約に加え,平均線量の制約を組み込む必要があると考えられた。

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© 2018 日本頭頸部癌学会
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