抄録
咽頭瘻孔の発生が疑われた場合の開創部位および皮膚切開線は,瘻孔から最短距離での皮膚切開が望ましいが,嚥下透視のみでは咽頭瘻孔の同定が難しい場合もある。今回我々は術後咽頭瘻孔に対して,経口造影剤併用下CTにより咽頭瘻孔部位の同定が容易であった症例を経験した。経口造影剤併用下CTは非イオン性ヨード造影剤嚥下直後に頸部単純CTを施行する。その際にドレーンなどの指標となる構造物が無い場合に線付きガーゼを頸部に貼付して撮影を施行し,造影剤漏出部位と指標物との位置関係により瘻孔部位を同定した。瘻孔直上にて皮膚切開を置き,咽頭瘻孔を開放した。本法は簡便かつ客観性に優れた瘻孔部位の同定法であると考えられた。