頭頸部癌
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トランスレーショナルリサーチはどう進んでいるか
免疫的癌微小環境解析を通じた頭頸部癌薬物療法の治療効果予測
辻川 敬裕吉村 佳奈子光田 順一佐分利 純代竹中 まり大村 学新井 啓仁荻 寛 志宮川 文小西 英一伊東 恭子平野 滋
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2019 年 45 巻 4 号 p. 362-365

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抄録

頭頸部癌を含む多くの癌において,免疫的癌微小環境が腫瘍の進行や治療抵抗性と関わることが知られてきている。私達は癌微小環境を詳細に解析すべく,従来の免疫組織化学法を発展させ,1切片から12種類のマーカーを可視化する多重免疫染色を行い,デジタル画像解析により定量的に解析可能な技術的基盤を開発してきた。本手法は,切除・生検検体の限られた組織量から従来の免疫組織化学と同等の費用で実施可能であり,腫瘍組織内の14種類の免疫細胞を位置情報を含めて定量的に評価し,臨床病理学的因子との検討が可能である。今後,切片上の組織構造・位置情報を活かした解析や,人工知能技術との併用,腸内微小環境特性や癌細胞の悪性形質など他情報との統合的解析を加え,より精度を高めた組織バイオマーカー探索が目指されている。臨床検体を通じた免疫的癌微小環境の経時的な解析が,頭頸部癌領域における治療選択の最適化につながることが期待される。

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© 2019 日本頭頸部癌学会
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