2019 年 45 巻 4 号 p. 397-402
AJCC第8版ではp16免疫染色によりHPV関連中咽頭癌をその他の中咽頭癌とは異なる病期分類を用いるようになった。HPV関連中咽頭癌は一般的に予後がよいが,再発・転移を来たし予後不良である症例も経験する。 2006年12月から2014年11月までに当科で治療した中咽頭癌新鮮例100例中,p16陽性例は34例であった。このうち2019年1月の時点で死亡例は4例(男性3名,女性1名)であった。臨床病期はAJCC7版ではStageⅢが1例,StageⅣが3例であったが,8版ではStageⅡが1例,StageⅢが3例であった。予後不良因子として喫煙,局所進行,年齢,重複癌が示唆された。HPV関連癌は再発・遠隔転移を生じても死亡までの期間が比較的長いことが臨床的特徴と思われた。そのため,可能な範囲で追加治療を行うことは妥当であると推察した。