頭頸部癌
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原著
頭頸部領域に遠隔転移を認めた胸腹部原発 悪性腫瘍症例の特徴と予後
島津 倫太郎山内 盛泰宮﨑 俊一嶋崎 絵里子倉富 勇一郎
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2019 年 45 巻 4 号 p. 416-419

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抄録

胸腹部原発悪性腫瘍の頭頸部領域への遠隔転移症例27例について検討を行った。原発部位は肺12例,胸部食道4例,腎3例,子宮頸部2例,肝,膵,胃,前立腺,胸腺,胸膜が各1例であった。年齢および性別において若年症例で女性が多く,一方で高齢症例では男性が多く,原発癌の異なる罹患率を反映していた。また下頸部リンパ節領域への転移が多くの症例で認められたが,上頸部領域や頭頸部臓器へ転移した症例も認められ,頸部リンパ節転移症例において胸腹部原発悪性腫瘍の検索も重要であることが認識された。さらに原発巣が未治療の頸部腫瘤で診断された胸腹部悪性腫瘍症例は,癌の既往がありその経過観察中に再発した症例に比べて統計学的に有意に予後不良であった。これは頭頸部に遠隔転移をきたした未治療癌症例は,病状が急激に進行し遠隔転移を早期からきたすためと思われた。

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© 2019 日本頭頸部癌学会
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