2023 年 49 巻 1 号 p. 1-8
頭頸部癌切除および一期的に遊離組織再建手術を行った2018年〜2020年の3年間318例を対象に,Clavien-Dindo分類(CDC)を用いて術後合併症の検討を行った。CDC grade Ⅲa以上を合併症ありと評価し,全体で115例(36.2%)にみられた。遊離組織移植に関する合併症に関して,20例(6.3%)で術後吻合血管に血栓を認め,このうち14例において血管再吻合を行い12例が救済された。全壊死は8例(2.5%)で,新たな組織移植による再建手術を要した。呼吸器に関しては17例(5.3%)で術後呼吸不全のため人工呼吸器管理を要した。これらの合併症は有意に在院期間を延長した。本研究では遊離組織移植に関する2000年〜2007年の8年間1,031例の当科からの過去の報告に比べ,吻合血管血栓後の救済率に向上が認められ,術後のシームレスな経過観察と適切な開創処置が重要と考えられた。