頭頸部腫瘍
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頭頸部腫瘍における Surgical Neuroangiography 第一報
診断的意義および chemoembolization の初期効果について
奥野 哲治
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1989 年 15 巻 2 号 p. 12-20

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抄録

頭頸部良性腫瘍3例, 悪性腫瘍11例に, 診断および塞栓術による血管内手術を目的とした, 腫瘍栄養動脈茎の選択的血管造影 (surgical neuroangiography) を施行し, その臨床的意義を検討した。診断的意義について見ると, 血管腫のみならず, 神経鞘腫や癌腫においても刷毛状腫瘍血管の増生所見が得られ, 腫瘍の骨膜浸潤や神経鞘周囲の浸潤範囲の診断に有用であった。扁平上皮癌や腺様嚢胞癌などの悪性腫瘍では, これらの腫瘍血管網を粒子の大きさが40μ程度の gelfoam powder を用いて選択的に塞栓し, 凝固壊死によるその組織効果を切除標本にて確認した。頭頸部癌の集学的治療の一つとして, 本法が有力な治療法となる可能性が示唆された。

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© 日本頭頸部癌学会
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