頭頸部腫瘍
Online ISSN : 1883-9878
Print ISSN : 0911-4335
ISSN-L : 0911-4335
高齢者鼻・副鼻腔癌症例について
教室10年間の統計より
土屋 英明林崎 勝武大谷地 直樹竹内 洋介金子 敏郎
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 15 巻 2 号 p. 134-137

詳細
抄録

1977年から1986年までの10年間に当科を初診した鼻・副鼻腔癌新鮮症例102例で, そのうち28例が70歳以上であった。高齢者においては Stage IVの進行癌の占める割合が54%と高かった。治療前合併症は28例中18例にみられ, そのために根治切除術を行わなかったものが7症例あった。治療に伴う合併症は8症例にみられたが手術に伴う重篤なものはなかった。28例中上顎部切以上の手術を施行したものは6症例 (21.4%) であり, 70歳未満では90%近い割合なのに比してかなり少なかった。5年累積生存率は15.9%であり, 70歳未満は60.7%であった。今後は高齢者といえども合併症をコントロールした上で積極的に根治切除術を行っていく必要性を痛感した。

著者関連情報
© 日本頭頸部癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top