1989 年 15 巻 2 号 p. 65-68
頭頸部扁平上皮癌に対するシスプラチンを含む化学療法の有用性は多く報告されている。また, 放射線療法も単独で優れた治療成績を上げている。今回, シスプラチンを含む多剤併用療法と放射線療法の併用を未治療頭頸部扁平上皮癌102例に対して施行した。治療法はシスプラチン100mg/body以上, 放射線量40Gy以上とし, 全奏効率を検討し, 更に化学療法施行時期における全奏効率及び stage III, IVにおける奏効率, CR率についての相違を検討した。結果は同時施行例が奏効率, CR率についてより優れていた。化学療法, 放射線療法の併用の主たる目的である stage III, IVあるいは根治という点では同時施行がより有効であることが示唆された。