1990 年 16 巻 2 号 p. 55-59
昭和45年4月から平成元年3月までに当科頭頸部外来にて治療を行なった上咽頭癌87例を対象に臨床的検討を行なった。
平均年齢は48歳で, 50歳台に多く見られ, 男女比は3.6:1であった。病理組織学的分類では低分化型扁平上皮癌と未分化癌が多く見られた。stage 分類ではIII (19例), IV (54例) と進行例が多かった。
治療で Neo-adjuvant chemotherapy (NAC) を施行したものは24例であり, 化学療法の全体の奏功率は73%と高かった。
しかし Kaplan-Meir 法による5年生存率は, NAC施行例44.7%とNAC非施行例45.3%と余り変わらず, 統計的にも有意差が見られなかった。