頭頸部腫瘍
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頭頸部腫瘍のMR像の画像評価`
CT像との比較検討
佐々木 文雄木戸 長一郎不破 信和加藤 恵利子森田 皓三
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1992 年 18 巻 2 号 p. 178-187

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抄録

65例の頭頸部腫瘍のMRとCT像の画像評価の比較検討がなされた。MR像は5症例を除けば, CT像を凌ぐか同等の評価が得られた。特にMR像はコントラスト分解能に優れるため, 造影剤を使用することなしにCT像で検出が困難な腫瘍の同定に有用であった。またMR像は任意断面の撮影が可能であることから頭蓋底浸潤などの上下方向への進展を容易にし得る。骨髄脂肪の描画容易なことからCT像で描画し得ない骨髄浸潤の診断が容易である。また義歯からのアーチファクトが少ないなどの利点も挙げられる。
しかし, 逆にMR像はCT像に比較して撮像時間が長いこと, このため嚥下や呼吸運動によるアーチファクトによる画像の劣化がみられる。またMR像はCT像に比較して微細石灰化巣の検出に劣るなどの欠点もある。以上の欠点を考慮してもMR像は, その優れたコントラスト分解能を有すことなどからあらゆる頭頸部疾患の検査手段となりうる。

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© 日本頭頸部癌学会
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