1992 年 18 巻 2 号 p. 38-42
1989年5月から1991年4月までの3年間に, 九州がんセンター頭頸科にて治療を施行した頭頸部悪性腫瘍86例の核DNA異型性の有無について検討した。試料は, 手術時および生検時に採取し, -80℃凍結保存もしくは生標本を用い核DNA量を測定し解析を行った。T分類との関係では進行癌でDNA aneuploidy を示す割合が高い傾向を認めた。リンパ節転移の有無と核異型性の出現率の間に正の相関が認められた。核異型性と予後とは負の相関が認められた。病理組織学的分化度と核異型性とは明かな正の相関は認めなかったが, 分化度が低い癌組織ほどDNA aneuploidy の有する細胞を示した。核異型性の検索と同時に制癌剤感受性についても検討し, 考察した。