頭頸部領域の悪性腫瘍25例について, 抗癌剤の多剤耐性に関与する膜タンパク質であるP-糖タンパクの発現を免疫組織化学的に検索した。その結果, 悪性線維性組織球腫の1症例では, 化学療法施行後にP-糖タンパクの発現がみられた。また, 腺様嚢胞癌では5例中4例で, 化学療法施行前でもP-糖タンパクの発現がみられ, 本腫瘍の自然多剤耐性に関与している可能性があるものと思われた。以上のことより, 頭頸部領域の悪性腫瘍についてもP-糖タンパクの発現が認められる症例があり, 化学療法に対する感受性との相関が示唆された。