抄録
Epstein-Barr ウイルス (EBV) と唾液腺腫瘍の関連を調べるため Polymerase chain reaction (PCR) 法と in situ hybridization (ISH) 法で唾液腺腫瘍組織からウイルスDNAの検出を試みた。PCR法では多形腺腫26例中2例, ワルチン腫瘍7例中7例, 粘表皮腫瘍5例中2例, 正常唾液腺組織20例中5例にウイルスDNAが検出されたが, ワルチン腫瘍では濃いバンドが検出され他より多くのウイルスDNAが存在すると考えられた。ISH法ではワルチン腫瘍の腺腫の部分にウイルスDNAが検出された。以上の結果からワルチン腫瘍の発生にEBVがなんらかの役割を果たしている可能性があると考えられた。