頭頸部腫瘍
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同時多重がん治療上の問題点口腔癌・中咽頭癌における治療方針
斉川 雅久
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1993 年 19 巻 3 号 p. 330-336

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抄録

口腔扁平上皮癌1026例中23例 (2.2%) および中咽頭扁平上皮癌224例中15例 (6.7%) に同時多重癌を認めた。中咽頭癌症例の同時多重癌発生率は最近5年間で急増していた。同時多重癌の発生部位は頭頸部・食道・胃が多く, 全体の84.1%を占めた。
同時多重癌症例の治療方針はあくまでも各々の癌に対する根治治療をめざすことが基本と考えられた。自験例の78.4%で全癌の根治治療が可能であった。全癌を根治治療できた場合, 口腔癌症例でば48.1%, 中咽頭癌症例でば71.6%の5年累積生存率が得られた。同時多重癌の確実な診断・他癌の部位に応じた治療法の選択・患者の一般状態の考慮により確実な治療が行えると考えられた。

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© 日本頭頸部癌学会
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