1994 年 20 巻 1 号 p. 50-56
舌癌311例中4例 (1.3%) で舌リンパ節転移を確認した。これら舌リンパ節転移はT2もしくはT3の扁平上皮癌症例で, その転移部位は外側舌リンパ節3例, 正中舌リンパ節1例であった。またこれら4例中3例は他の頸部リンパ節転移を伴っていた。
舌リンパ節転移の術前診断は舌リンパ節が小さく, 原発巣と近接しているために困難であるが, 今日ではX線CTやMRIなどの画像診断により診断される。
本リンパ節は通常の頸部郭清術の範囲外にあり, 治療としては転移巣がしばしばリンパ節被膜外進展を示すことから, pull-through 手術や composite 手術により摘除すべきものと考えられる。