1994 年 20 巻 1 号 p. 84-88
180例の頭頸部癌患者に上部消化管スクリーニング検査として上部消化管造影検査とルゴール染色法を用いた食道内視鏡検査, 並びに胃内視鏡検査を施行した。結果, 17例の食道癌と2例の胃癌を発見できた。19例の重複癌症例のうち13例は造影検査では正常であったことより, スクリーニング結果での内視鏡検査の必要が考えられた。1次癌として, 下咽頭癌8例, 中咽頭癌3例, 口腔底癌3例, 舌癌3例, 喉頭癌1例, 上咽喉癌1例であった。重複癌群の Brinkman 指数, Sake 指数は非重複癌群に比較すると有意に高値であった。また, 食道癌重複例17例中8例に癌病変部以外にも異型粘膜を認めたことより, 頭頸部癌に重複する食道癌は multicentric な発癌形態を取りやすいのではないかと推察した。