頭頸部腫瘍
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肩甲骨皮弁による下顎再建術
田原 真也高木 正牧野 邦彦天津 睦郎
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1994 年 20 巻 3 号 p. 458-462

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抄録

遊離肩甲骨皮弁移植による下顎再建と移植骨への人工歯根埋設による歯牙再建について報告した。骨皮弁は肩甲下動脈を血管茎とし, 骨弁は骨枝と角枝からなる二重血管茎とした。このため下顎前方の弯曲を再現する際の骨切りを安全に行うことができた。血管茎付き肩甲骨の移植は骨への血流が豊富なため骨癒合が良好で, 移植骨の固定も薄いミニプレートのみで充分であった。形態と強度の両面で正常下顎骨に近い再建が可能であるため, 術後再建下顎骨内に人工歯根を埋設して歯牙再建までが可能であった。移植骨へのインプラント埋設は正常下顎骨への埋設と同様に外来処置で可能であった。歯牙再建後5年以上を経過して通常の咀嚼が可能な4症例を経験している。本法による下顎再建は術後変形の予防という整容面のみならず, 摂食・咀嚼という機能面でも良好な結果が得られた。

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© 日本頭頸部癌学会
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