頸部に発生する神経原性腫瘍の中でも迷走神経原発の腫瘍は稀であり, 多くが良性である。だが, 治療は外科的摘出が第一選択となるため, 発生母地神経の処理が問題となる。また, 発生部位によってはそのアプローチ法に苦慮することもある。今回は1989年からの6年間に京都府立医科大学耳鼻咽喉科にて手術治療を施行した副咽頭間隙原発の迷走神経原性腫瘍 (神経鞘腫5例, 傍神経節腫1例) について検討した。副咽頭間隙へのアプローチ法は, 5例で下顎正中離断し下顎骨を押し上げる方法を選択した。この方法により十分な術野が確保でき術後後遺症も少なく安全である。また, 発生母地神経の処理は, 腫瘍細胞残存による再発や悪性化の危険性を考慮し, われわれは神経を切断している。しかし, 迷走神経は多くの支配臓器で両側支配であるので反対側の代償により声帯麻痺以外は問題とならない。麻痺声帯にはシリコン注入による声帯内転術を行い良好な結果を得ている。