頭頸部腫瘍
Online ISSN : 1883-9878
Print ISSN : 0911-4335
ISSN-L : 0911-4335
頭頸部癌細胞株におけるCDDP感受性に関する基礎的研究
田中 信之斎藤 等津田 豪太大坪 俊雄藤枝 重治野田 一郎都築 秀明杉本 千鶴木元 久武藤 明
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 22 巻 1 号 p. 13-17

詳細
抄録

CDDPは頭頸部癌化学療法の Key drug であり, 高い臨床効果をあげているが, 一部には奏効しない症例もみられる。そのような例に対して症例ごとの腫瘍細胞の特性を把握し, それに合致した適切な modulation を行なうことにより, CDDPに対する感受性の向上が期待される。そこで今回, 頭頸部癌細胞株を用い, in vitroでのCDDP感受性とそれを規定する因子すなわち (1) 薬剤取り込み (2) 薬剤排泄 (3) DNA-Pt adduct (4) DNA修復について検討した。細胞株としてKB・IMC-2・IMC-3細胞を用いた。結果は, IMC-3細胞は, 薬剤取り込みが他の2細胞株に比べ少ないにもかかわらず, 薬剤排泄, DNA修復能が劣っており, IMC-2細胞は, 薬剤蓄積の低下とDNA修復能が比較的優れていた。以上より, IMC-3細胞に対しては薬剤取り込みの上昇, IMC-2細胞ではDNA修復の抑制による薬剤感受性の増強が示唆された。

著者関連情報
© 日本頭頸部癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top