1996 年 22 巻 1 号 p. 185-190
日本TNM分類委員会頭頸部小委員会唾液腺部門として1980年から1994年までに登録された201例の小唾液腺癌症例について, 1987年の大唾液腺UICC分類に基づいたTNM分類, 病理組織型, 生存率などを検討した。年齢分布は60歳台にピークがあり, 男女比は約2:3であった。病期別にみると stage Iが81例 (40.3%), stage IIが69例 (34.3%), stage IIIが23例 (11.4%), stage IVが28例 (13.9%) であった。原発部位は硬口蓋が全体の36.7%を占め, 次いで口腔底が13.4%, 頬部粘膜が10.4%の順であった。Tに関してはT2以下の症例 (全体の78.1%) が多く, Nに関してはN0症例が全体の89.1%を占めた。病理組織型別症例数では粘表皮癌が43.8%と最も多く, 次いで腺様嚢胞癌が33.8%, 腺癌が10.4%, 多形腺腫内癌が5.0%であった。5年以上経過した症例中予後を追跡し得た症例は23例で, その5年粗生存率は73.9% (17/23) であった。今後さらに症例を積み重ね検討する予定である。