1996 年 22 巻 1 号 p. 60-64
1973年10月から1995年3月までに福岡大学病院において放射線治療を行った上顎洞扁平上皮癌新鮮例55例について化学療法併用の有用性について病理学的腫瘍制御の観点から検討した。
50%制御に必要なTDFは化学療法非併用群で69.9, 化学療法併用群で52.9, 90%制御に要するTDFはそれぞれ105.9, 79.5と化学療法併用群の方が低線量で腫瘍制御が得られたが統計学的有意差は認められなかった。T3症例の場合, 50%制御に要するTDFは化学療法非併用群で89.0, 化学療法併用群で48.8, 90%制御に要するTDFはそれぞれ168.5, 79.3と, 30%以上の腫瘍制御を得る線量は化学療法併用群の方が非併用群より統計学的有意差をもって少なく, 有用な治療法であった。
投与法では局所的動注群と全身的経静脈, 経口, 経直腸投与間に差はなかった。