1996 年 22 巻 1 号 p. 83-87
舌癌の治療において, 原発巣と頸部転移巣を別々に治療すると口腔底粘膜下にわずかながら無治療域が生じる。ここからの再発を仮に口腔底再発と呼ぶこととし, 当科で過去15年間に加療した舌扁平上皮癌417例を対象にこれについて検討した。
口腔底再発は6例に認めた。原発巣と頸部転移巣を別々に治療した後のものが5例, 一塊に切除した後のものが1例であった。全例口腔底筋群を保存した症例であり, これが口腔底再発の重要な因子であると思われた。
6例中5例が死亡しており, 頻度は少ないものの予後不良な再発であった。この再発の危険因子は不明であった。