頭頸部腫瘍
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甲状腺腺葉峡切除, 気管周囲郭清術のポイント
鹿野 真人小川 洋長谷川 博渡邉 睦大石 剛資桑畑 直史鈴木 茂憲大谷 巌
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1997 年 23 巻 3 号 p. 519-525

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抄録

甲状腺癌に対する腺葉切除, 気管周囲郭清術のポイントは反回神経と上喉頭神経外枝の保存であり, そのために重要となる正確な臨床解剖, 手術における基本手技について述べた。反回神経の特徴としては, 左右でその走行が異なること, 喉頭外で分枝する率が高いこと, 下甲状腺動脈と神経の走行にバリエーションが多いことがあり, これらを考慮した安全な神経確認の部位は甲状腺下極部がベストと考えている。また反回しない反回神経の存在もあり, 他の部位での確認方法を知っておくことが望ましい。一方, 上喉頭神経外枝は上甲状腺動静脈の分枝の問を走行するものが多く, 上極では神経を確認した上で, 血管処理を甲状腺に最も近い部分で行うべきである。
無血的術野と神経の愛護的剥離を徹底し, 術後麻痺をなくすよう常に努力することが大切である。

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© 日本頭頸部癌学会
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