頭頸部腫瘍
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口腔癌に対する高線量率分割組織内照射
井上 武宏井上 俊彦山崎 秀哉エルバラディ マナール清水谷 公成田中 英一手島 昭樹渕端 孟古川 惣平
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1997 年 23 巻 3 号 p. 573-577

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抄録

高線量率 (HDR) 組織内照射は医療従事者の被曝を皆無とした。患者はアイソトープ病室に隔離される必要がなく, 合併症のある患者や高齢者の治療も可能である。1991年6月から頭頸部癌に対するHDR組織内照射の第I/II相試験を行い, 60Gy/10回/1週間を標準的な治療線量とした。
舌癌に対するHDR組織内照射単独と低線量率 (LDR) 単独の第III相試験では5年局所制御率はHDRが94%, LDRが90%であった。30~40Gyの外部照射と48~54GyのHDR組織内照射で治療された11例の舌癌患者とLDRで過去に治療された症例と比較すると, 5年局所制御率はHDRが81%であり, LDRが74%であった。HDRで治療された16例の口腔底癌の患者とAuグレイン (LDR) で治療され患者を比較すると, 5年局所制御率はHDRが94%であり, LDRはT1が76%, T2が60%であった。
頭頸部癌に対するHDR組織内照射の治療成績はLDRと同等かそれ以上であった。HDR組織内照射はLDRにかわりうる治療方法と考える。

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© 日本頭頸部癌学会
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